今回は少々わかりにくい話となる。
カントは言った。
「あなたの意志の格律が、常に同時に普遍的な立法の原理として妥当しうるように行為せよ」
まあつまるところ自己の道徳法則がそのまま世界に適応できるほどのものであれということなのだが、これは本題ではない。
この言葉に付随しているのが、定言命法である。これは先ほどの道徳法則において人間に無条件に適合するものであり、何の理由なしに「ーしなければならない」か「ーせよ」ということが要求されるのだ。
ここでカントの倫理学から都合のいい部分だけを引き出してみよう。そうすると、
「ーせよ」という無条件の行為を実行せよ。
とすることができる。この考え方を、倫理や道徳以外の思考においても利用するのだ。
例えばやらなければいけない宿題を後回しにしていた時。私はこう自分に言い聞かせている。
「宿題をやらねばならない」
と。理由は考えないで、ただやらなければならないという意思によってやろうとすると、意外と集中できる。皆様方も後回しにしていることがあれば、やってみてはいかがだろうか。
最後になるが、この方法は自立意識を基底としたある種のマインドコントロールである。ゆえに他者に押しつけられたことを、この方法で行うことは推奨しない。なぜならそれは自分を追い込むことであり、破滅への一歩だからである。
マインドコントロールも計画的に。
それではまた。
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