紅葉の映える日々。

Life is too short to drink bad sake.

"Duvel" デュベル、この甘美なる悪魔よ。

 

いきなりだが、今私の心は間違いなくルビコン川どころか三途の川をひとっ飛びで越えたような感じになっている。

それは私が人生で確実に暫定一位の美味しいビールに出会えたからだろう。

今日はそのビールの紹介をしていく。

 

そのビールは、はるか彼方のベルギーからやって来た。

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ヤツの名は"Duvel"。人はヤツを悪魔とも呼ぶ。

デュベル。

このビールを造っている会社が創業したベルギー北部の地域で悪魔を意味する言葉だ。

この酒はまさしく『悪魔』と呼ばれるにふさわしい。

 

きっかけは偶然だった。

大学でお世話になった先輩と偶然再開し、その際にもらったのだ。

...いや、その時既に私は悪魔の手中にあったのかもしれない。

そのくらいヤツとの出会いは劇的すぎた。

 

講演会に参加して疲れて帰ってきた私は、ヤツが冷蔵庫にあるのを思い出した。

そして、つい軽い気持ちで開栓したのだ。

それが全ての始まりだとも知らずに。

 

まず泡からして違った。

質量があり、消えないのだ。

何時までも残り続け、形作る。

まるで悪魔の存在を誇示し続けるかのように。

色も完璧だった。

麦が持つ本来の色をそのまま卓上に持ってきたかのような鮮やかな黄金だったのだ。

 

そして。

味は。

舌の上で弾けてその瞬間に消えるような華やかな酸味と。

ほどよく口に残るホップの苦みがやって来た。

ああ。

これが最果てだ。

確かにヤツは悪魔だった。

私を一瞬で虜にし、蜃気楼のように去って行ったのだから。

 

あまりにも、私の好みと合っていた。

自分がビールに求めるモノが全てヤツは持っていた。

後に残ったのは、悪魔に魅せられ次を求める憐れな人間だけだった。

 

デュベル。

悪魔の名を冠すこの酒は、貴方を誘惑するかもしれない。

しかし、それはきっと素晴らしいことなのだろう。

この素晴らしき、人々を幸福にする悪魔を貴方も味わってみては如何だろうか。

それこそが、悪魔を存続させる手段となるのだから。

それではまた。