先週西成(通称あいりん地区、釜ヶ崎とも)に宿泊してきた。
以前の記事はこれである。
先回の記事において、あいりん地区には日本の現状が凝縮されているという話を書いた。そしてその意識は、今回訪れたことでよりいっそう鮮明になった。
それはなにか。
老いている。人だけではなく、町がだ。
あいりん地区で生活している人々の高齢化は更に進んだ。日が悪かったのかもしれないが、全盛期の活気はやはり感じなかった。(本で読んだ印象とは違ったというだけだが)
そしてあいりん地区のシンボルであったあいりん労働福祉センターの改築による閉鎖が決定された。これに反対する声が挙がっていたが、その気持ちが少し分かる。新しい建物を作るという名目で、そこに集っていた人々を強制排除し二度と入れないようにするのではないか。そんな感情を持っているのだ。
これはある意味間違いではないだろう。大阪府や市としても、ドヤや暴動の町として記憶されるよりは、現在の外国人バックパッカーが多数訪れる国際色豊かな町にしたいというのが本音な筈だ。
しかしそれでは、あまりにも風情がない。綺麗に見えるモノしか見たくない人がこの世には多すぎる。まるで自分のドス黒さを覆い隠すかのようにだ。
善も悪も。
正義も別の正義も。
輝かしいダイヤモンドも泥中の小石も。
全て等しくそこに存在していることには変わりがないというのに。
私だって綺麗に見えるモノを好む存在だ。しかし、それでも、私は世の中にはあらゆるものが、綺麗に見せられるモノとは対極のモノが存在することを忘れないで生きていたい。それこそが私にできる数少ない向き合い方であるからこそ。
それではまた。
貧困と地域 - あいりん地区から見る高齢化と孤立死 (中公新書)
- 作者: 白波瀬達也
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
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