本日は頭痛も治っていい感じであった。それは体調面から来るものだけではなく、午前中に行ったプレゼンテーションを終えたことから来る安堵感も含まれていたのだと思う。これで卒論の史料集めも捗るというものである。
前置きはこれくらいにして、今回は以前読んだ本の紹介をしようと思う。
その本とは、
『大衆の反逆』
である。この本の著者はホセ・オルテガで、20世紀にスペインで活躍した哲学者である。この本の特徴は、”大衆”を定義し、そして大衆に対して批判を向け改善を望むというある種のエリート的発想が元になっていることであるが、同時に当時の知識人に対しても鋭い批判を浴びせていることでもある。
彼は大衆を大まかに言って
- 同形質な人々との同化を希求し、その集団に属さない人(優れた人など)を嫌悪・排斥しようとする存在。
- 義務の履行を厭い、権利の行使を要求する存在。
としている。これそのものに対するオルテガの評価については本を読んで頂きたい。
では私は何が言いたいかというと、こういった部分を読んだ際に以前教授に言われた言葉を思い出したのだ。
その言葉とは、
- 大衆は集団を形成するものであり、それが利点になる事もあるが、大衆という存在を維持するため、自身らのアイデンティティを形成・確認するためにそこに属さない他者(弱者)を攻撃しがちである。
- 君たちにはそんな大衆に埋没して他者を無自覚に攻撃する人間にはなってほしくない。
- 安易に大衆になるなかれ。
というものであった。教授がいった大衆とオルテガが定義した大衆は異なるものであり、安易に同一化するのはよくないが、それでも教授が伝えようとしたこととオルテガが論じたことにはある種の共通性があると感じたのである。
教授の言ったことが必ずしも正しいとは限らないだろう。しかし他者を無意識・無自覚に攻撃することはよくないことである。大衆の定義は置いておくとしても、攻撃という点については深く同意できた。
この気持ちを忘れずに生きて行ければ、少なくとも全く意識しないよりかはよい人生を送れるのではないか、そう思った。
最後になるが、今回の思考はあくまで私が考えたことであって他者にどうこうというものではない。それを留意して頂ければ幸いである。なおアマゾンには大衆関係の本を貼っておく。興味がある方は是非見てみて欲しい。
それではまた。
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